母の事。

先日、母から服を貰った。
お付き合いで買ったのだけど、着ないので、あんたにあげる、と言う。

母はもともと細い人だったが、70も半ばに差しかかり、ゆったりしたものがいい、しかも、上からかぶる服は着にくいのでいやだ、と言っている。


茶色のニットのチュニック(L)、ハイネックの紫の花柄長袖シャツ(L)、裾にレースがついた薄い黒のベスト(LL)の3着をくれるというのだが、70歳代の母に合わせて洋品店を営んでいる知人が勧めてくれたもの、というだけあって、まさに母の年代の人向きだ。


「私、着ないと思うから、いらん。」とまずはっきりお断りした。
「それに、サイズ大きいし。」とも言った。
「年寄り向きじゃん。私、よう着んわ。」とまでは、さすがに言えなかったが、態度で、絶対にいらん、と抵抗した。

しかし、母は、強引に私に試着をさせ、
「ああ、よう似合うわ。こんなん着てたら、みんなから、おしゃれじゃねえ、ってほめられるわ〜。」と言う。

鏡には、どうみても10歳以上老けた私が映っている。

「おしゃれなんだったら、お母さんが着たらいいじゃん。」と言うと、
「私よりあんたのほうが似合うわー」と澄まして言う。

「だってこれ、全部大きいよ。私、Mでちょうどいいんやけん。」と、サイズが合わないという理由で断ろうとすると、トドメの一言が!!。


「あんたなあ、いつまでもMなんか着てたらイカンで!!もうちょっと考えて服も選ばんとイカンで!!」・・・おこられた・・なんで・・?。


おいおい、そこまでして、この服を持って帰らせたいのかい。
自分が着たらいいやんか。
お母さんに合わせて選んでくれた服なんやろ〜(泣)


強引に持って帰らされた服は、袋に入れたまま洋服ダンスの奥深くしまわれた。捨てるわけにもいかん。また着ない服でスペースを取ってしまった。


後日、母から電話があった。
鼻炎で漢方薬を飲んでいる、と先日母に言ったことを覚えていたらしく、漢方薬の記事が雑誌に載っていた、との情報を知らせてくれるために電話してきたのだ。


しかし、なぜか、更年期障害の薬のことを一生懸命教えてくれる。
「お母さん、鼻炎ももう治ったから、大丈夫だから。」と言ったら、
「あんたの年代はな、こういう薬を飲んだらいいんよ。」とおっしゃる。必ずその雑誌を買って、読むように、と長々と言う。

なのに、最後には、「具合が悪い時にはな、やっぱり病院にいかんといかんで。」と締めて、電話は終わった。

お母さん、昔からそうだけど、気持ちはありがたいけど、なんでも押しつけてくるのはやめてくれんかなあ。
それが愛情だというのなら、しんどいわ。しかも、終始一貫してないし。
ハイハイ、と適当にいなしておけばいい、という意見もあるだろうが、なかなかそれが出来ない娘は、あーあ、とため息をつくしかないのですよ。