有り余るプライド

叔母(母の姉)が俳句の本を自費出版した。小学校の先生を定年まで勤めあげ、その後、句作に励んでいたようだ。
うちの母も文芸方面が好きで、童話や短歌、俳句、そして詩吟が趣味である。昔、童話の本を出したこともあるらしい。
母の姉妹には芸達者な人が多く、妹にはお習字の先生もいる。毎年年賀状をいただくのだが、超達筆な墨跡である。昔、自分の家の前の道路を直してほしくて、市長あてに、和紙に細筆でさらさら、っと嘆願書を書いて出したら、次の日に職員がとんできて、道路工事をした、という伝説を持つ。
8人姉妹で、今は5人が健在である。色々な才能を持った姉妹なのだが、いかんせん、仲が悪い。張り合っているのである。多分。才能もプライドも有り余ってあるので、一度こじれると難しい。子供どうし(いとこ達)は「困ったことよな。」と苦笑いして傍観するしかないのだが、ほんと、どうにかしてほしい。でも、あのお年頃になってしまうともう無理かもしれない。

叔母が私に自費出版本を送ってきてくれたので、うちの子にそういう話をしていたら、突然「じゃあ、お母さんはどうなの」と聞かれた。「有り余る才能とプライド」のことである。「いや〜、中途半端な才能とそこそこのプライドよ」と答えたが、なんだか悔しい。
俳句も小さい時に作っていたが、小学校のとき小さい賞状をもらったきりだ。お習字も6年生までやったが、今は筆ペンすら持たない。ピアノも高校まで習ったが、音大に行ったわけでもない。大学では歴史をやったが、それを生かしているわけでもない。ああ、なにもかも中途半端である。もし、一つの事に専念していれば、今頃は専門家だったかもしれないのに。(笑)
主婦としても、とても中途半端である。掃除機かけがいまだに嫌いである。
ま、いいや。健康な体を持ち、そこそこのプライドを持ち、順調に老いていっていることに感謝して、のんびりゆるゆると生きていこう。才能なんかなくてもなるようになるさ。サンキウ。