自筆サインより三文判

きょうは天気がいいけど、やっぱり肌寒い。
また、着る物に困り、はっと思い出したのが、息子の部屋にほおっておかれている新品の衣類一式のことだった。

4月の始め頃、近所のショッピングモールの誕生祭で、カードを使って買えば、2割引した価格からまた更に2割引してくれるというセールがあり、息子のトレーナー、Tシャツ、スニーカーなど時間をかけて選んで買った物だ。

いつもは、値札などを取って、
「新しいの買って来たから引き出しにいれとくよ。」と言ってすますのだが、そのときは、
「ここに置いておくから、自分で片付けてね。」と言って、袋にいれたままベッドの足元に置いた。

母ががんばって買ってきたのだから、感謝して、値札取って引き出しに入れるくらい自分でおやり、という親心?だったのだが、いつまでたってもその袋はその位置に存在し続けた。

「あんたねえ、その袋の中の服、いらないの?」と聞いたこともある。
返事は「いや、いるよ。」であった。
「じゃあ、袋から出して、引き出しにしまうなり、学校に着て行くなりしたらどうなん???」と言ったら、
「ああ、うん。」と答えた。

そんな会話が何度か繰り返されたが、今日の朝もその袋はそこにある。

あああ、もうしらんわい。
意地の張り合い(?)に疲れた私はその袋をついにあけ、季節の過ぎたトレーナーを押入れダンスにしまい、長袖のTシャツの値札をとった後、自分で着た。

ちょっといい感じにかすれたプリントのTシャツだ。
きょうの温度にちょうどいいやん。
こんなことなら、Mじゃなく、Sを買っとけばよかった。
そしたら、自分のものにできたのに。
男物のMはやっぱりデッカイですわ。

スニーカーも、値札をはずして靴箱に入れ、
「ああ、片付いたわ。」と袋のことは記憶から消し去ろうと思いました。
Tシャツは、明日洗濯して、息子のタンスにいれておきますよ。



話は全然変わるけど、きのう、書留を引き取りに郵便局に行った。
おととい、出かけていたときに郵便やさんが来たらしく、配達のお知らせが入っていたので、本局に取りにいった。

その紙を見せ、本人確認(免許証)を見せ、
「免許証の番号をひかえさしていただいてよろしいですか?」と聞かれ、ここで「嫌です。」と言ったらどうなるんだろうな、と思いつつ、もちろん「はい」と答え、
「こちらに印鑑をお押しください。」と言われて、100均で買ったハンコをポンと押した。

その、ハンコを押す欄には、「ご署名または印鑑を押してください」と書かれている。
ああ、ハンコを持ってくるのを忘れても、サインでいいんだ、と思い、
軽い気持ちで、
「あの、ここ、ハンコの代わりにサイン書くのでもいいんですね。」と窓口の女の人に言うと、
「できるだけ、印鑑でお願いしております。もし、サインの場合は、ご本人様にフルネームで書いていただくことになりますが、できるだけ印鑑で、とお願いしております。」
と、顔をこわばらせて言われた。

わかったけど、じゃあなんで、ご署名、または印鑑、なんて同等に書いてんのかなあ。
それにね、100均の三文判と、本人の自筆サインと、どっちが本当の本人確認になるのか?と考えたら、おかしいよね。

日本はハンコ文化だから、100均のハンコもすごい威力がある。
色紙にハンコ1個、押してあっても誰も買わないけど、有名人の自筆サインが書いてあったら売れるでしょうよ、などと、帰りの車を運転しながら、またくだらない事を考えていたのでありました。