洗濯機が動く幸せ

木曜日の朝、洗濯機が壊れた。
洗って、排水まではできるのだが、脱水になると止まってしまって、ピーピーと泣くのである。E2とエラーが表示され、洗濯機のふたの裏の説明を読むと、「ふたが開いています」という意味らしい。
はぁ!?締まってますがな。あんさん、何をおっしゃって、と、とりあえず一度ふたを開け、また締めた。
締めましたがね。さあ、動いてな、と脱水からのコースを設定しなおし、さあさあ、と見守っていたが、グキ、とモーターが音を立てたかと思うと、ピーピーと再びお泣きになる。コレコレ。
そうしている間に、出勤時間は刻々とせまってくる。
やばいぞ、これは。先に着替えて、化粧して、と焦りながら、その合間に何度か脱水を試みる。電源切って、また入れて、脱水から始めましょう、洗濯機さん、ごきげんをお直しください。とやっているうちに、なんの拍子か、ふっと洗濯機の気配が和らぎ、ウイ〜ンと脱水槽が回転し始めた。
やった!!と狂喜乱舞したが、もはや時間は8時2分前。8時過ぎには出なくてはならないのだ。洗濯機の前で時計を見ながらじりじりと洗濯が終わるのを待ち、終わるやいなや、よし、と洗濯物を、とにかく吊るし、家をでた。

金曜日の朝、「きっと昨日の事は、なにかの間違いだったに違いない。今日は大丈夫。きっと大丈夫。」と洗濯を始めた。回る、排水する、脱水にかかる。「ピーピー。」あああ・・・・やっぱり(ガックリ)
ううう、今日は午後に修理にきてもらおう。午後から休みをもらおう。でも、もう一度電源を切って、ふたをパタパタと閉めなおし、祈る。「回れ。」すると、ウイ〜ンと音がして、脱水をはじめたではないですか。
「助かった!!」と安堵し、無事洗濯を終え、出勤し、午後からの休みを申し出よう、と上司の来るのを待つ。
すると、始業まえに電話が鳴って、とると、「夕べから寒気がして、今日は休むから」となんと上司の声。えええ、休むんかいな。私、休めんやんか。洗濯機、直せんやんか。がっくりと落ち込み、一日を過ごす。

土曜日。きょう、また洗濯機がお泣きになったら修理の電話を朝一にしよう、と洗濯を始めた。ウイ〜ンと大変軽快な音がして、脱水槽が回る、回る。えええ、復活や。ありがたや。これは奇跡。

日曜日。不安な気持ちを抑えきれず、洗濯を始める。一体何がそんなに不安なの??と言わんばかりに洗濯機が軽快に動く。そうですか、そうなんですか。直ったんですか。ほんとですか。信じていいんですか。明日からも、ちゃんと動いてくれますね。修理をたのまなくていいんですね!?

洗濯を終え、私は思った。洗濯機がちゃんと動く幸せ。これまで、脱水の時にガッタンガッタンいって、また注水を始めた時に、「あああ、時間無いのに、また〜〜」とか文句をいってごめんよ。がんばってくれていたのにね。ありがとう。普通だと思っていた事が、実は奇跡のようなことだった、と幸せをかみ締めた私であった(笑)