京都旅行 覚書 2日目 20日のこと(昼)

南禅寺、というと、「ゆどうふ」である。学生時代、「ゆどうふ」を食べさせる料亭にはとても恐れ多くて入れなかった。だが、今は違う。お昼に「ゆどうふ」を食べるのだ。リベンジ、という言葉さえ心に浮かぶ(笑)

『総本家ゆどうふ奥丹』に入る。メニューは湯豆腐のコース、一つのみ。カードは不可、現金のみ。「おきまり一通り」コース、お一人様3150円(税込)。二人で6300円也。贅沢だ。
木の芽田楽、とろろ、野菜と練り物の含め煮、天ぷら、白ご飯、お漬物、そして湯豆腐。薬味は葱と七味、だし汁をつけて食べる。淡白ではあるが、とても満足。料亭の周りの林からは、カラスの鳴き声が時々聞こえてくるが、それ以外はなんの物音もしない。座敷の人たちの話し声も静かである。ああ、落ち着くなあ、このままこうしていたいなあ、と心から思う。

奥丹を出て、蹴上に向かうか、岡崎に出るか迷う。蹴上に出たら、地下鉄に乗ることに決めていたが、娘に、「向こうに見えるのが平安神宮の鳥居やけど、疎水沿いに歩いていこうか」と言うと、「そうやね」というので、鳥居をめざして歩くことにする。疎水記念館の前の噴水を見ながら、テクテク歩く。仁王門通りをしばらく行くと、すぐに神宮道である。右手に平安神宮の赤い大鳥居がそびえ立つ。
「ちょっと歩くとすぐ名所に着くね」と娘が言うので、「じゃあ、このまま神宮道をまっすぐ行って、青蓮院、知恩院円山公園二年坂、三年坂、清水寺コースを攻めますか」と言ってみると、「それはやめとく。」と言う。そうでしょうな。(笑)
私もかなり疲れてきたので、一旦ホテルに帰ることにする。神宮道から三条通りを歩き、三条大橋を過ぎ、河原町通りへ。

途中、ミーナ京都に入り、ロフトを見たり(ビブレからこのビルに移転してきたのね)、クラビノーバのデモストレーション演奏をやっているのを見たりした。十字屋さんの宣伝である。演奏者は日下純さんという背の高い男の人だった。事前に演奏を打ち込んで、それに合せてトリオのように一人で演奏できる。クラビノーバも良いヤツになると、エレクトーン並みやなあ、と感心するが、途中で飽きて(電子楽器の演奏はなぜか飽きる)、店を出る。演奏が店のスピーカーから流れていて、店内に入ろうとする若い男の子が「あれ、これ、弾いてはるの?」と連れの女の子に言っていた。京都弁を男の子がしゃべると、聞いていてふわっとなるなあ。昔は私も即席の京都弁をしゃべっていたのだが、今はしゃべれ、と言われると気恥ずかしいし、きっと正しくしゃべれまい。

ホテル近くの四条通りに「伊兵衛」という風呂敷、ハンカチの店があり、入って、パンダ柄の落ち着いたピンクの小風呂敷と、唐草模様のハンカチを1まいずつ買う。布物を買うと、なんだかとてもうれしい。
この時点で3時を過ぎ、天気予報どおりパラパラ雨が降ってきた。夜は清水寺のライトアップを見に行くのだが、まあ、雨の清水寺も違った風情であろう、と思い、ひと時、足を休めるためにホテルにはいる。