歯科で

昨日、歯科で1時間以上待たされていたとき、隣に座っていたおばあさんが話しかけてきた。

80代のおばあさんだった。

息子さんは、国立大の医学部を出て、今は東京にいるという。
娘さんは、近くにいるらしい。

息子さんのお嫁さんが、よく服を買って送ってくれて、
「お母さん、お気にいるかしら?」と言ってくれるらしい。

娘さんは、暖かい下着を買ってくれるらしい。

そして、2人の子供さんは、それぞれにお小遣いをくれるので、それと年金を合わせて、十分な生活をしている、とのことだった。

しばらくして、おばあさんのほうが、先に呼ばれて診察室に入り、治療を終えて出てきたとき、まだ私は待合室にいた。
おばあさんは、「またお会いするかもしれないからね。」と言い、私は「お気をつけてお帰りください。」と挨拶した。

するとおばあさんは、「あのね、あなたも娘さんに、今、よーくしてあげなさいよ。そうしたら、必ず、あなたが年をとった時に、よくしてくれる。うちの娘がそう言うのよ。」と言った。

「はい、ありがとうございます。」と答えて、私は、自分は娘によくしてやっているだろうか、と考えてみた。
どうなんだろう。娘はどう思っているんだろう。
そして、私は母親に、よくしてもらったんだろうか、など、とりとめなく考えてしまった。
なにか、小説の題材になりそうなテーマだわ〜、と思った。人生の先輩のいう事は、さすが深い。